「欲望という名の電車」

風と共に去りぬ」でヴィヴィアン・リーを知ってから、スカーレットとこのブランチ役でオスカーを獲得していたのを知り、高校のころにまずテネシー・ウイリアムズの戯曲を読み、ショックを受けました。あの美しいスカーレット女優が、こんな役を。それから、この映画を目にする機会が無かったんですが、今日DVDレンタルで見ました。なんという月日の経ち方(苦笑)。原作以上のショックを受けたのは、ラスト。故郷を追われ、頼ってきた優しい妹の夫スタンリーにこっぴどく真実を暴かれ、結婚を夢見たミッチにも裏切られれて、狂気に逃げるしかなかったブランチ。光り輝いていた美しい時代を持っていたヴィヴィアンこそ、演じるに相応しい役柄だったのかとも思いますが、このとき既に神経を病んでいたことを考えれば、無謀だったとも思えました。あまりに耐え難い現実を突きつけられていくスタンリーとの会話や、ステラとの会話は惨すぎて、涙が止まりませんでした。品のある立ち居振る舞いや、前半の弱々しい声。それと対照的なラストの声。お風呂に入る度、ブランチを思う出すかもしれません。それにしても、このマーロン・ブランドは力強くてセクシーでワル。全くの対比をなすこの色が、全編を覆いつくしていて、物悲しい作品でした。