異なる世界の落差うまく風刺

18日の朝日新聞ラテ欄にとっても嬉しい記事があり、早く載せなきゃって思っていたのに今頃になりました。
このライターの島崎今日子さんは、去年「白線流し」のときにも書いてくださったかたですね。

おバカだけれど強くて男らしい、という役どころを演じたら長瀬智也の右に出るものはいない。
マイボス・マイヒーロー」(日本テレビ系)は、そんな長瀬にうってつけのお話だ。27歳の榊真喜男はヤクザの若頭で、3代目組長候補。
ところが単純な計算もできないために大きな取引に失敗、2代目の父親から、組長襲名のためには高校を卒業しろという条件を出されてしまう。
そこで、真喜男の高校生活が始まるのだが。
真喜男のキャラが笑える。父親に「強くなれ」と言われ続けて育った結果が、「勉強の代わりに、カツアゲとケンカしかしなくなって」「90秒以上ものを考えられない」人間になってしまった。
自分の名前を漢字で書くことができず、授業はまるでチンプンカンプン、授業中は教師に指されないことだけを念じて過ごし、高3なのに学力は小学生レベル。
つまり、男らしさだけを追求したら、アホになってしまったという設定なのである。
ヤクザ世界と学生世界の落差がうまくカルカチュア(風刺)されている。
「ぶっ殺すぞ」が口癖のヤクザが、教師に指されて答えられなかったり、10歳年下の級友から「バカ」と言われて傷つく姿は切ない。
もたいまさこが演じる保健室の先生が言った「学校は何でも学べる、国語も数学も、愛も友情も」というセリフがこのドラマの要になるのだろう。
市村正親大杉漣など周囲を固める役者もぜいたくだ。
原作は韓国映画らしいが、このエネルギッシュな面白さ、確かに韓国ドラマの血をひいているわ。

というものでした。
このドラマは真喜男演じる長瀬智也がおバカなのが前提ながらも、どこまでそれを耐えられるのか?が長瀬ファンにとっては一つの焦点であり、2話では親子関係の修復、というより再構築を試みていたり、クラスの中での真喜男の存在価値も問われてきていたりと、日常のさりげない要素を学校と家の中で解決していく。という進行になっているんですね。
さあ、これから真喜男と正反対の頭の良い弟も帰ってきて波乱を巻き起こしてくれるらしいので、ますます目が離せなくなってきましたよー。