一つ終わりました

先日、祖母が亡くなりました。わたしの母の養母であり、所謂、母にとっての継母です。
終に、わたしの名前を呼ぶ*1ことも、手を触ることも無く、100歳近くで逝きました。
小学生の頃は、子どもながらに違和感を覚え、いつもにこにことお饅頭をくれる祖父と対極をなしていた人でした。
わたしの母の本当の母は、若くして亡くなってしまい、その為か、頑丈な人を後妻にもらったと聞いています。
母が祖母から受けた扱いがどんなだったか、全部は聞かせてくれませんでしたし、ここにそれを書くつもりもありませんが、小説やテレビであるのと似たような関係だったようです。なにせ、たとえ義理とはいえ、孫の顔も正面から見ず、名前も呼ばない。で、お分かりになるでしょう。
それでも、その祖母のお通夜と葬儀で、涙の一粒も出ないと思っていたわたしの目から、涙は出ました。
悲しいとか、寂しいとかではなく、母との長かった確執が『やっと終わった』という、気持ちからです。
わたしの息子たちも、一度も会った事がなく、顔すら知らなかった彼らにとっての曾祖母でしたが、田舎の親戚たちに紹介され、若い男の子たちにありがちな、ちょっと照れたような挨拶が誇らしかったりもしました。
誰もお墓参りをしていないお墓を参っているのは、わたしであり、この子たちです。あの世から、祖母は見てくれるでしょうか。

*1:いつもわたしは眼鏡の奥から『あんた』と呼ばれていました